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心療内科・精神科・漢方精神科
睡眠障害 不眠症 うつ病 神経症 認知症
てんかん 認知行動療法 漢方治療
(保険適用)
やまでらクリニック
〒180-0006
東京都武蔵野市中町1-22-2
ナッツビル5階

問診表

クリニック案内

中央線、総武線三鷹駅北口2分、人通りの少ない静かな武蔵野市の一角にたたずむクリニックです

医院名
やまでらクリニック
院長
山寺 博史
住所
〒180-0006
東京都武蔵野市中町1-22-2
ナッツビル5階
診療科目
心療内科・精神科・漢方精神科
睡眠障害(不眠症)、うつ病、神経症、認知症、てんかん、認知行動療法(自費)、漢方治療(保険適用)も対応しています。
電話番号
0422-55-1556

睡眠障害(不眠症)

睡眠障害(不眠症)

睡眠

まず、睡眠の重要性についてお話をいたします。なんと、人生の三分の一は睡眠で過ごしています。それでは、睡眠は何のためにあるのでしょうか。人間は普通日中起きて勉強や仕事などの活動をしています。そのエネルギーは脳、筋肉その他で三分の一ずつ消費されているのです。そのため、夜間は筋肉や脳で使ったエネルギーを回復させるために睡眠が必要なのです。睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があります。レム睡眠は疲弊した脳の、ノンレム睡眠は体の疲労回復に役立ちます。また、ノンレム睡眠は深度1から4までの睡眠の深さの程度であらわされます。数字が多いほど睡眠が深くなって行きます。深度4では成長に必要な成長ホルモンが分泌されます。寝る子は育つといわれていますが、よく寝る子ほど成長ホルモンが分泌され、成長が促進されるのです。子供の成長は夜もたらされます。朝、起きたら体が大きくなっていたということも耳にします。そのことを知っていると、この先人からの言い伝えはかなり妥当性があるように思われます。
一方、レム睡眠は記憶に関係していると考えられております。日中見た風景は画像として一時的かつ無意識に脳に蓄えられます。レム睡眠で夢を見るときにその画像が再び脳に浮かび上がります。その中で記憶として蓄えるべきものは、今までの記憶と関連して脳に効率的に収まります。まさに、コンピュータのファイルをセーブすることに似ています。その記憶はまず、海馬を含めた大脳辺縁系というところに貯蔵されます。そこが一杯になる古い記憶は前頭葉というところに移ります。人間は他の動物の中では大脳の中で前頭葉の占める割合が一番大きいことが知られています。したがって、記憶力は動物中では一番強力と考えられています。最近、知名度が高くなったアルツハイマー型認知症では大脳辺縁系の海馬の萎縮が始まります。したがって、大脳辺縁系に蓄えられている新しい記憶が障害を受け、前頭葉に蓄えられている古い記憶は呼び起こすことが出来るのです。また、酒を飲みすぎると、翌日その時の記憶がとんでいる経験をしたことがある人もおられるでしょう。この現象をブラックアウトといいます。アルコールは大脳辺縁系の働きを抑制することが知られています。つまり、レム睡眠も抑制するのです。その結果、記憶を抑制することにより健忘をおこします。アルコール依存症では毎日アルコールを飲むことにより、レム睡眠が慢性的に抑制されたままで、夢が抑えられています。アルコール依存症の人が治療などで飲酒を急にやめて2~3日すると体の震えと伴に夜間の不眠や幻覚が認められるようになります。この幻覚はアルコール依存症によって抑えられていた大脳辺縁系の機能が活発化して、病的な夢として現れるのです。
最近、夜遅くまで、勉強やコンピュータゲームに興じて、睡眠時間不足のこどもが多くなっていますが、これらの子供たちの成長が心配されております。 コンビニの労働者や、タクシーの運転手などのシフトワーカーでは、心・循環器系疾患と消化器系疾患が有意に多いことも知られています。
健康若年者の睡眠を4日4時間に制限すると①交感神経緊張が緊張して脈拍数が増加したり、食欲が低下する。②耐糖能が70台の老人並みに低下して、前糖尿病状態になる。③コルチゾール分泌が亢進して、緊張・興奮状態になるなどの現象が生じます。
また、一晩の徹夜で最低血圧と最高血圧値が10mgHGあがることも知られています。
徹夜運転をすると飲酒運転に匹敵するほど作業能率が下がることも知られています。このように、睡眠時間を十分にとらないといろいろな弊害が生じます。

不眠症

不眠症

ここで不眠症の診断にとって重要なことは、夜、よく寝れないことだけでなく、そのことによって日中、仕事や、学業などの社会生活に支障をきたすことが必須の条件になります。
古い統計になりますが、平成9年度厚生白書では1984年から1993年にかけて睡眠障害による外来推計患者は約2.3倍に増加しており、全国の一般住民を対象とした疫学調査でも国民の23%が睡眠による休養が不十分と回答しています。特に、女性で多く、高齢女性では5割を超えるといわれています。
ごく最近のあるメーカーでの調査をもとにして推計したところ、睡眠障害によるわが国の経済的損失は年3兆5千億円にも達すると推測されています。アメリカを始めフランスなどの他の先進国でも同様の報告があります。このように睡眠障害者は近年増加の一歩をたどっており、その経済的損失も含めてかなりの社会的問題となっています。
不眠症の原因には5つのP(Pで始まる単語の最初のアルファベットをとって)があるといわれています。 

  1. Physiological(生理学的):騒音などの不適切な環境、海外渡航、夜勤や日勤などを交替して行う際などが原因
  2. Physical(身体的):身体疾患に伴う苦痛などが原因
  3. Psychological(心理学的):急性・慢性のストレスや伴侶を失うなどの喪失体験などが原因
  4. Pharmacological(薬理学的):薬物・アルコールなどが原因
  5. Psychiatric(精神医学的):うつ病などの精神障害が原因

また、上記にあげられた原因が認められない場合もあります。

不眠症の種類

不眠症は3ヶ月以内(特に1週間以内)に改善する一過性(急性)不眠症と3ヶ月以上続く慢性不眠症と分類されます。
不眠症のタイプとしては、
① 入眠困難
② 中途覚醒
③ 早朝覚醒
④ 熟眠感不足
などがあげられます。
入眠困難とは寝つきが悪い状態で、一度寝付くと朝までぐっすり寝れるタイプです。
中途覚醒とは寝つきは良いのですが、入眠後数時間で目が覚めるタイプです。そのまま、朝まで眠れないことが多いタイプです。
早朝覚醒とは朝早く、目が覚めるタイプです。
上記のタイプが単一でなく、それぞれが混在して見られることが多いのも現実です。

よりよい睡眠のために (睡眠衛生)

不眠の原因がはっきりしている場合はその原因を取り除くことがまず、第一となります。しかし、原因を取り除く事はなかなか難しいのが現実です。また、たとえ、原因が解決したところで、すぐにもとの状態に戻ることもむずかしいのが現状です。
まず、一般的にできることは、入眠しやすい状況・状態を作ることが必要です。これを睡眠衛生といいます。具体的には下記のことがあげられます。
①就床前2時間は安静を保つ事
②夜間、カフェインを含む飲料は避ける事
③就床前2時間前にぬるま湯に入る事
④できれば12時前には眠ること
⑤夜間の過度な運動は避ける事
⑥夜、タバコは吸わない事
⑦寝酒はしない事
⑧昼寝は午後3時までに30分間以内にする事
⑨午前中に太陽の光を浴びる事 

① 精神的、肉体的に興奮した状態にあると、交感神経が興奮して、すぐには、入眠できません。入眠し易くするには、経験上2時間、テレビなどを見ず、静かなやや暗いところで時を過ごすのが良いとされます。室内を暗くすることにより、目に光が入らないので、メラトニンが脳内に分泌され、それが睡眠を促進するといわれています。

② カフェインは覚醒作用があります。コーヒーを飲んでもすぐ眠れるという人がいますが、カフェインの効果が出るのは飲んでから20分以上後です。したがって、コーヒーを飲んだ直後に眠れても何の不思議もないのです。また、その覚醒作用は4時間くらい持続するので、その点に注意を要します。 

③ ヒトを含めた高等動物は体温が下がる時に眠気が出てきます。雪山での遭難時には眠るなという叱咤激励の言葉を聴いたことが有るかも知れません。これは、体温の低下が眠りを催し、さらに、それが体温の低下を増強し、死に至るのです。これを利用して入眠したい時間帯の前2時間くらいにぬるい温度のお風呂に入ります。あまり熱いと体が興奮して逆に寝つきは悪くなります。尚、一日の内で体温が一番高いのは夕方で一番低いのは明け方の前です。寝ている時にはエネルギーを貯めるために使わないように体温を低くしているのです。よく、徹夜をした時に、明け方に寒気を感じるのはこのためと考えられます。 

④ ヒトにはさまざまなリズムがあります。大きく分けると、睡眠覚醒リズムの群と体温リズムの群があります。この、二つのリズムの群はお互いに影響しあっています。体温リズムの群のなかに、ホルモンリズムや自律神経リズムの慨日リズム(サーカディアンリズム)などが含まれています。体温が明け方から上がってきます。それは、あたかも、起きて筋肉や脳が活動しやすいように暖気運転するかのようです。あまり、遅くなって寝ようとしても、起きる活動性が高まるために、なかなか寝付かれません。

入眠してから最初の90分くらいで90%以上の成長ホルモンが分泌されます。従って、入眠直後の90分が大切とされています。がんなどを抑制する免疫機能は午前0時から5時頃に活発になるといわれています。そういう時間を睡眠に当てると好ましいと考えます。

⑤ よく、会社からの帰りにスポーツクラブに寄ったり、帰宅してからジョギングをする人がいます。運動は体に良いのは勿論ですが、これにより、身体の興奮が高まり、運動直後では入眠が難しくなります。運動をしたい人は入眠2時間前には終えるよう、また、軽い運動にして下さい。 

⑥ 入眠前にまず、一服という人がいますが。タバコに含まれるニコチンにはかなり強い覚醒作用があります。ニコチンには同時に血管の収縮作用があり、心臓の血管を収縮させるために動悸が出現したり、心拍数が増加して入眠の妨げになることもあります。かなり強いニコチンを含むタバコを立て続けに吸うと、睡眠薬の効果も消失してしまうことがあります。

⑦ 寝酒とは寝る目的のためにアルコールを飲むことをいいます。アルコールによってもたらされる睡眠は自然の睡眠と異なります。睡眠には脳を休めるノンレム睡眠と体を休めるレム睡眠があります。アルコールは飲酒開始数日までは夜間前半にレム睡眠と覚醒を抑制し、ノンレム睡眠を増加させますがアルコールがきれてくる睡眠後半には逆にノンレム睡眠の減少とレム睡眠と覚醒時間の増加が認められます。アルコールの催眠作用は数日後には耐性(依存性)が生じます。、眠気を催す量は徐々に増えてゆきます。慢性的(毎日)アルコールを多量摂取していますと前記の効果は消失し、レム睡眠は抑制されたままです。つまり、夢はレム睡眠で多く見られますので、夢は抑制されたままです。アルコール摂取を急に止めますと、抑えられていたレム睡眠が異常に多量に出現します。それが、アルコール休止後に現れる離脱症状です。具体的には手の震えと伴にカラーの小さな虫が天井にうじゃうじゃといるような幻視といった現象(異常な夢)が認められます。また、アルコールは脳の辺縁系という感情と記憶を司る部位を抑制させます。したがって、アルコールを多く飲みますと記憶の一部が失われます。この経験をなさった方は少なからずおられると思います。また、アルコールは神経毒があり、肝臓や脳の細胞を死なせてしまいます。その結果、肝硬変や脳の萎縮に伴う認知症がおきます。また、けいれんをおこしやすくさせます。

⑧ 寝ないでいると、その時間が長い程、眠たくなることが強くなります。これを睡眠圧が上昇するといいます。したがって、昼寝を多くとってしまいますと、睡眠圧が減少し、夜寝付きが悪くなります。昼寝の時間は一般的には30分までといわれています。ヨーロッパの国、特に、スペインなどの日中暑い国ではシエスタといった昼寝をとる習慣があります。気候風土に応じた習慣ですが、やはり、現代のスピード化された時代には合わなくなり、その習慣は減少しつつあるようです。 

⑨ 午前中に太陽の光を浴びると睡眠物質のメラトニンの脳内からの分泌が抑制され覚醒度が高まります。その反動で夜間のメラトニン分泌が活発になり入眠しやすくなります。夏の暑い日には木陰でも十分メラトニン分泌が抑制されます。

睡眠薬

睡眠薬

まず、知っていただきたいことは、入眠剤と睡眠薬が違うものとおもわれておられる方がおおいようですが、睡眠を催すものは皆、睡眠薬です。また、精神安定剤の中で、催眠作用が強いものも睡眠薬として用いる場合もあります。
睡眠薬の歴史は1985年のブロム剤の発見に始まります。この薬は今ではもう使用されておりません。1990年代になり、バルビツレート酸系睡眠薬(これは第一世代の睡眠薬と呼ばれている)や尿素系睡眠薬が開発されましたが、依存などの不都合な作用などから常用はされなくなっています。現在は、べンゾジアゼピン系睡眠薬が第二世代の睡眠薬とよばれ、広く使われています。依存性が少なく自殺目的のために多量服薬しても危険性が少ないのが特徴です。最近は、べンゾジアゼピン系睡眠薬の短所(筋肉の弛緩作用やレム睡眠薬の抑制)を減弱化した非べンゾジアゼピン系睡眠薬やメラトニン作動薬やオレキシン受容体拮抗薬なども開発されています。不眠症の薬物治療の選択肢が増えています。
精神科の外来では睡眠薬を処方しようとすると、睡眠薬を連用すると認知症になるので、服用したくないという患者さんがおられます。それに対しては何の根拠もありません。巷間の根も葉もない噂に囚われないでいただきたいものです。睡眠薬は脳細胞の受容体という所にくっついて作用します。脳細胞そのものにダメージを与えるものではありません。したがって、脳細胞を減らして認知症(痴呆)に至るものではありません。一方、アルコールは脳細胞そのものに作用し脳細胞を壊死させ、脳を萎縮させて、認知症(痴呆)をおこさせます。それと比較しなくても、現時使用されている睡眠薬は安全性が高いものです。心配することはありません。しかし、睡眠薬にも副作用がないとは完全には否定できません。その主なものにふらつきなどの筋肉の弛緩作用や健忘作用があります。最近はその副作用を防ぐために、筋肉の弛緩作用や健忘作用が少ないか、ほとんどない睡眠薬が開発され用いられています。また、睡眠薬の効果にも誤解されているところがあります。テレビドラマなどで見かけることがありますが、どんな状況でも睡眠薬を飲めばすぐに眠れるとおもわれているようですが、そんなに強力な睡眠薬はありません。睡眠薬を用いて眠れる時間は、元来その人が寝ている時間しか眠れません。普段6時間寝ている人は睡眠薬を用いて寝ても6時間で目が覚めてしまいます。欲張って、若い時の様に、10時間はぐっすり眠りたいといっても無理なのです。つまり、睡眠薬はその人が持っている睡眠覚醒リズムを強化するものと考えてください。 睡眠薬を使用する事に際しては医師のアドバイスを絶対に守ってください。効かないからといって勝手に増量などはしないでください。
睡眠薬の処方には一定のきまりみたいものがあります。
寝つきが悪い場合は分解・代謝が速い睡眠薬を選びます。睡眠途中で目が覚める場合は分解・代謝が、寝付きの悪いときに用いる睡眠薬より長い睡眠薬を選びます。朝早く目が覚める場合は睡眠途中で目が覚める場合に用いる睡眠薬より分解・代謝が長い睡眠薬を選びます。また、日中、不安があるような場合には、さらに分解・代謝が長い睡眠薬を選び、朝になっても残っている効果で日中の不安を弱めます。睡眠薬はいつまで服用するかについても多くの方が知りたい事でしょう。急性のストレスなどや時差ボケなどによって一過性に生じた不眠症は、睡眠薬を用いてもすぐに中止することが可能です。しかし、慢性の不眠症の方はなかなか睡眠薬をやめることは難しいのが現状です。ここで依存ということが問題になります。従来は逆耐性依存が睡眠薬の問題でした。具体的には徐々に睡眠薬の量を増やさないと効果がなくなるという現象のことです。しかし、現在用いられている睡眠薬はその現象はかなり少なくなっています。睡眠薬は人間が生活の質を改善するために開発した道具です。その道具をいかにうまく使うかによるかです。

過眠症

「ナルコレプシー」という病気があります。喜んだり悲しんだり、強い心の動揺などで、突然、発作的に眠りに陥る病気です。昔の物語に出てくる眠り姫はその例だといわれています。筋力の低下を伴うために座っていても机に顔をぶっつけてしまい。怪我をしてしまうこともあります。この原因としては、レム睡眠が睡眠発作と伴に出現することが知られております。また、脊髄の中に液体があります。それを、髄液といいます。ナルコレプシーの患者さんではその髄液の中のオレキシンいうホルモンの減少が認められることも知られています。このオレキシンはその役割がよくわかっておりませんが、ナルコレプシーの出現と深い関係があることが推測されております。ごく最近、モダフィニールという薬が日本でも認可されました。効果を期待しております。

数日、あるいは数週間寝たままの状態が続く病気があります。その間、トイレに行ったり、食事を摂ったりはするのですが、あとでその間の記憶がありません。なかには、過食、性欲の亢進、精神的不安状態、錯乱や幻覚を持つ場合もある特殊なものもあります。こういう病気を「反復性過眠症」といいます。 また、女性では生理の間、眠気が強くなる場合もあります。これを、「月経関連過眠症」といいます。
「行動誘発性睡眠不足症候群」という過眠症があります。ずいぶん難しい名前ですが、残業などで絶対的に睡眠時間が不十分や、夜遅く帰るので、すぐには寝付かれず睡眠時間が十分に確保できない場合。また、睡眠衛生や慨日リズム睡眠障害や物質による睡眠障害にも係ることでありますが、夜間にたばこなどを多く吸うために覚醒度が増し、すぐには入眠できません。休日における、日中過剰な昼寝、不規則な就床時間や起床時間も原因のひとつとなり、昼間に強い眠気が出現することです。これらの場合には職場での勤務形態や生活習慣を変更しない限り、特別な治療方法はありません。
過眠症とよく間違えられるものとして「長時間睡眠者」という病気があります。この病気は睡眠時間を毎日10時間以上必要とするものです。したがって、夜間の睡眠時間で足りない分は日中の仮眠で補わなければなりません。
以上は直接的な原因で過眠症がおこる場合を解説いたしましたが、これからは、夜間の睡眠障害が原因で日中の過眠症がおこる場合を解説いたします。 アメリカのスリーマイル島の原子力発電所の事故、チェルノブルイの原子力発電所の事故、スペースシャトル・チャンレンジャー号の爆発事故やアラスカ沖のタンカーの座礁事故などは、乗務員の「睡眠時無呼吸症候群」による睡眠不足が過眠をひきおこし、事故の原因となったことが推測されています。
また、日本でも西日本旅客鉄道での居眠り運転も同様とされています。
「睡眠時無呼吸症候群」とは睡眠中に呼吸が止まったり、呼吸が浅くなったりして苦しくなり、睡眠が妨げられる状態でのことです。その結果、睡眠不足で日中に眠くなり、さまざまな生活に不都合がおこることになります。
「睡眠時無呼吸症候群」には、脳からの呼吸の指令が来なくなり呼吸が止まる中枢性と気道(空気の通る道)などが閉塞して呼吸が止まる閉塞性に大きく分けられます。後者の「閉塞性睡眠時無呼吸」の方が多くみられます。
肥満などで気道が狭くなると空気が通るのに抵抗が大きくなります。その結果呼吸が苦しくなります。
夜間ではそれがいびきとなってあらわれます。また、アルコールを飲んだ日にもいびきは大きくなります。 これを放っておくと、高血圧などの心血管系の病気になることが知られています。これは、睡眠時無呼吸によって血中の酸素濃度が低下するために心臓から肺への血液量を増加させ酸素濃度を高めようとします。その結果高血圧になります。実際、睡眠時無呼吸を治療していますと高血圧が改善することがあります。また、糖尿病を含めた生活習慣病にもなりやすいことも知られています。
概日リズム(サーカディアンリズム)の異常が原因のときには、地球の自転に体の睡眠覚醒リズムが合わされなくなり、望むべき時間帯に寝付かれず、覚醒できない状態になます。それを、「概日リズム睡眠障害」といいます。なかでも、入眠時間と覚醒時間が遅れる障害を「睡眠相後退症候群」といいます。 具体的には、なかなか入眠できず一定の時間(8時間など)寝ないと覚醒しません。朝、周りの人がどんなに起こそうとしても覚醒せず、たとえそれに対して反応してもあとでその事に尋ねても記憶がなく、時にはあたかも反抗するかの如く物を投げるなど暴力行為を呈することがあります。もうろう状態に近い意識障害の状態です。このために、出社や登校が困難になることがあります。
この「睡眠相後退症候群」に対する治療法には2500~3000 lux(ルックス)の白色光を用います。これを高照度光療法といいます。朝、覚醒したい時刻の1時間前に照射します。その他の治療法としては毎日入眠時間を1時間ずつずらしていきます。これを時間療法といいます。超短時間作用型の睡眠薬を望むべき入眠時間前に投与する薬物療法もあります。また、時間療法と併用することもあります。ビタミンB12 (メチールコバラミン)を1日量1.5-3mgを分三で投与し効果的なことがあります。 最近では、メラトニンの有効性が諸外国から報告され、日本でも全国的なレベルでのメラトニンの効用の研究の有効性が報告がされています。2005年7月にアメリカでメラトニン受容体作動薬が上市されており、日本でも現在使用が可能になりました。入眠時刻や覚醒時刻が早まるのを「睡眠相前進症候群」といいますが、これはあまり社会生活に支障をきたしません。
ある日はほとんど寝ていたり、ある日は起きていたりして不規則な睡眠覚醒リズム障害を呈するものを「不規則睡眠・覚醒型(不規則睡眠覚醒リズム))といいます。
一般人の日常の生活リズムは地球の自転の24時間に合わせており、これを同調作用といいますが、この状態はあたかもその同調作用が働かず、人間の持っている固有のリズムで睡眠・覚醒リズムが出現しているようです。実際、感覚を遮断した状態で自由に生活させるとほぼ半数の人は、24時間の概日リズムではなく25時間やそれ以上の慨日リズムを呈します。この障害のために、出社や登校が困難になることがあります。これを、「フリーラン型(非同調型)」といいます。
「時差型 (時間ボケ症候群)」は、ほぼ1週間で回復します。時差が2時間以上だと時差ボケが生じます。サンフランシコから成田といった西行旅行の方が成田からサンフランシコに飛ぶ東行旅行より時差ぼけはおこりにくくなります。したがって、世界旅行の際には西周りの方が体に良いとされます。
タクシー運転手や看護婦などのシフトワークによって生じる睡眠覚醒リズム障害は「交代勤務型」といい、治療には睡眠相後退型に準じますが、数日に1日は朝起きて夜間は寝る普通の睡眠・覚醒パターンをおくることが体には良いとされています。

睡眠時に伴うその他の睡眠障害

夢をみているときの睡眠をレム睡眠といいます。通常レム睡眠を伴う睡眠時に伴う障害として、レム睡眠中にみる夢に従ってあるいは影響されて、異常行動を呈することがあります。これを、「レム睡眠行動障害」といいます。また、寝付こうとすると、脚の裏あたりがなんとも言いようのない灼熱感やむずむずという感じがして寝付かれず、起き上がって歩きまわり、その異様な感じがおさまって、また、寝付こうとするが同様のことが起こりなかなか寝付かれないことがあります。一般の人にも結構見られますが、腎透析をしておられる方に特に多く認められます。これを「むずむず脚症候群」といいます。睡眠中に頻繁な体のピクツキ(律動的な動き)で目が覚めてしまうことがあります。これを「周期性四肢運動障害」といいます。

睡眠時に伴う障害については、原因が明確な場合はそれを取り除くことがまず行われます。それでも改善されなければ睡眠の質を良くする薬を用います。特に、むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)や周期性四肢運動障害にはよく効く薬が知られています。

睡眠障害と漢方薬

当クリニックでは、「不眠症」、「むずむず脚症候群(レストレスレッググス症候群)」、「周期性四肢運動障害」、「概日リズム睡眠障害」等に漢方薬をご希望された方には漢方的診断をして、それにあった漢方薬を処方しております。詳しくは当クリニックのホームぺージの「漢方薬」を参照してください。